ninjinkun's diary

ninjinkunの日記

Engineering in Voyageを読んだ

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち

技術カンファレンスで聴ける裏話を凝縮したような本だった。全編にわたって実際のビジネスに取り組むエンジニアの努力が取り上げられており、深い共感を持って読んだ。自分はこういった本がとても好きである。1200あるテーブルを450まで減らしたり、オンプレをクラウド移行したりと技術的負債を返済していく地道な話が中心になるが、どういう文化がそれを可能にしているのかが語られるのが面白い。

その文化とは、この本の副題である「事業をエンジニアリングする」に集約される。Voyageのエンジニアは事業をドライブするために手を動かす。そして時には事業サイドに切り込んで、利益が今後も見込めない事業(そしてそれに付随したレガシーシステム)を廃止したりもする。彼らはエンジニアであると同時にビジネスマンである。自分は事業サイドに切り込もうとして何度か痛い目を見たので、こういう振る舞いができる人は素直にすごいと思う。

WebではOSSや自作サービスを作るエンジニアが格好良く見えるが、本書を読むと事業にコミットするエンジニアも格好いいなと思える。社会に必要とされている人材は圧倒的に後者の方が多いはずなので、この本に出てくるエンジニア像がロールモデルとして広まっていくと良いなと思う。

コロナ禍で技術カンファレンス的なものに飢えている人にもおすすめです。