英語を使って仕事をするようになって一年ほど経つが、まだ集団での会話は苦手だ。しかし1:1なら割と言いたいことは伝えられるし、相手が言っていることもわかるようになってきた。この過程で自分が感じたのは、英語自体の流暢さよりも「共通のコンテキストを持っているか」の方が遥かにコミュニケーションに影響があるということだった。言い換えると「今何の話をしているか」と「相手はどんな前提で喋っているか」が理解できれば会話は成立する。
うまく例になっているか自信がないが、例えば相手が4月に"I skied with my family last Sunday"と言った時、初対面なのか、彼がコロラド州デンバーに住んでいてまだ近所のスキー場には雪があることを知っているかで受け取り方が違ってくる。知っていれば"Nice. How was the snow condition?"とかそのまま会話を進められるが、この前提を知らない場合、自分ならそもそもskiedが聞き取れない可能性が高い。
技術カンファレンスで外国人と英会話したら意外と話が盛り上がったり、GitHubのOSSにissueを立てたら結構通じてしまったりするのも、一定の同質性を前提にできるからだろう(用語が世界共通なのも大きいが)。
元々自分は今の仕事に就く前からこの仮説を持っていた。自分はずっと同じ英語の先生と8年近く個人レッスンを続けているのだが、6年の間億劫だったレッスンが一転して楽しくなった経験があったからだ。きっかけは一昨年にお互いがビデオゲームが好きなことがわかり、彼がプレイしていたのと同じ Death Stranding を自分もプレイし始めたのを転機に一気に会話が弾むようになった。それ以来お互いのビデオゲームに関する話題使ってレッスンをするようになったので、今は毎週のレッスンが楽しみになっている。
この経験から、英語で同僚と話す際に以下のことを実践している。
- 会話では固有名詞を使いまくる
- 最初からある程度の詳細を話す
- 日本語の会話だとまずふわっとした概要を話し、相手が興味を持ったら次に詳細という手順になるが、相手が興味あるかを気にせずに最初から固有名詞を入れた詳細を話す
- 例えば I watched a movie at a theater よりも I watched Nomadland at a cinema complex in Sinjuku last weekendの方がフックがある
- 相手が興味なさそうなら別の会話に移れば良い
- 日本語の会話だとまずふわっとした概要を話し、相手が興味を持ったら次に詳細という手順になるが、相手が興味あるかを気にせずに最初から固有名詞を入れた詳細を話す
- お互いの好きな本を紹介し合う
- 面接を担当してくれたデザイナーと入社前にこれをやっておいたのが関係構築に役に立った
- お互いの好きなNetflix作品を紹介し合う
- 一緒にゲームをする
- 最近だとチェスを教えてもらって、こちらは代わりに将棋を教えた
今のところ同僚とはフレンドリーに会話ができているので、ある程度はうまくいっていると思う。もちろん英語自体の勉強も続けていくが、こういったコンテキストの帯域を太くする努力を今後も続けていきたい。