ninjinkun's diary

ninjinkunの日記

iPhoneの英語入力キーボードを開発したプログラマーの話『Creative Selection』を読んだ

Appleファンとして、プログラマーとして、とても面白く読んだ。

KHTMLをベースにWebKitを作り始める話、iPhoneプロジェクトに入って英語入力キーボード開発のDRI*1になる話など、今自分がMaciPhoneで使っているソフトウェアの話が多く、具体的なイメージを持ちながら楽しむことができた。

Apple社内の雰囲気や体制が垣間見えるエピソードが多く、なるほどこういう環境でWebKitiPhoneは開発されていたのかと産業遺産を見るような気持ちで読んでいた。

  • とにかくデモを作って見せる文化
    • 上司にデモを見せる、気に入られると段々見せる階層が上がっていって、最後はジョブズにデモを見せるようになる
    • 動くものがなかなか出てこないと不信感を持たれる
  • (特に明言はされていないが)Appleにはコアロジックからアニメーションまで実装できるプログラマーが多数在籍していそうな雰囲気
    • 著者はブラウザの実装ができるくらい実力があるプログラマーだが、アニメーションまで実装している
      • 昨今ではデザインエンジニアとかテクニカルクリエイターとか呼ばれる人材ではなかろうか
    • こういった人たちが多数在籍し、彼らが動きの提案を作って、その中から良い物を選び取って製品が作られている様子
      • iPhoneは最初のバージョンからUIに相当な説得力があったが、こういうチームで作られてたのだと聞くと納得感がある
    • Directorを使ってインタラクティブなモックを作るデザイナーも居て、彼らも動きを作って提案を出しまくる

ジョブズ時代のApple社内の雰囲気を垣間見られる本としておすすめ。技術用語や実装の話もある程度入っているので、プログラマーなら楽しさ倍増かもしれない。

Creative Selection  Apple 創造を生む力

Creative Selection Apple 創造を生む力

*1:Direct Responsible Individual 直接担当責任者 プロジェクトには必ず1人の責任者を置くというApple用語