ninjinkun's diary

ninjinkunの日記

ものづくりをするすべての人に-スティーブ・ウォズニアック自伝

アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

タイトルと裏の写真は酷いが、それ以外は大満足。ウォズの生い立ちから大学までの話に半分以上が割かれており、ジョブズはときどきしか出てこない。しかしその生い立ちが面白い。エンジニアだった父親の影響で、小さい頃から様々な科学的な知識に精通していたこと、6歳で鉱石ラジオを組み立てた話、中学二年生で加減算器を設計した話・・・ウォズ少年のエピソードはどれも煌めいている。多少輝きすぎている気もするが、そこはまあ、自伝なので。

友達の誰も持っていない物を作ることができたんだ。小さな電子機器。友達にはできないことを僕はやったんだ。「鉱石ラジオを作ったんだぜ」って話をしたんだけど、それがなんなのか、わかるヤツはいなかった。一人もね。そのとき、こういうことについて、これからはみんなの先頭に立てるんじゃないかと思った。

そしてウォズは常に先頭を走り続けた。そして自分に正直に生きてきた。

彼は常にエンジニアリングについて考え、新しいもの、自分がすごいと思えるものを作り続けてきた。エンジニアリングは、文字通り彼の人生そのものなのだ。

このゲートをいくつか組み合わせれば、レジスターができる。たくさんのレジスターを組み合わせれば、大きなやつが作れる。論理ゲートを組み合わせれば加算器ができるし、加算機を組み合わせればコンピュータを作るために必要ないろいろな物が作れる。小さなコードを書けば、オンオフを制御できる。これを拡張し、拡張し、拡張していく。
画家が絵筆で色を重ねていくように、あるいは、作曲家が音符を重ねていくように。そして、完璧を求める努力、誰もやったことがない形であらゆるものを完璧に組み合わせる努力、これこそがエンジニアであれ誰であれ、真のアーティストを生み出す源泉なんだ。

彼が作ってきたもの、彼のやってきたいたずら(たくさんある!)、彼の人生観についてひたすら語っている本です。

すべてのエンジニア必読、とまで言うつもりはないけど、読むと勇気を貰える本です。エンジニアでなくても、何かを時間を忘れて作ったことがある人なら共感できるはず。運命のアップルI、そしてIIが完成するところなんてもう、鳥肌もの。

ただし、最後の一文は議論を呼ぶかもしれない。アーティスト肌のエンジニアなら、と前置きはついているが、発明は一人で仕事をする場合の方が生み出しやすいと主張しているからだ。

発明家であると同時にアーティストでもあるような、そういう珍しいタイプのエンジニアだと君が思うなら、僕からアドバイスがある。それはちょっと……と思うかもしれないけどね。「一人でやれ」だ。

「画期的な製品や機能を生み出せる可能性が一番高いのは、一人で仕事をするときだ。委員会じゃダメ。チームじゃダメなんだ。」
そうなると、方法は僕と同じになると思う。余暇を使って副業としてやるんだ。お金もリソースも限られるけどね。でもね、最後には、やってよかったと思えるはずだよ。もし、発明したいって思うなら、それが本当に君が望むことなら、やってよかったと思うはずだ。誰かが発明したものについて、ただ、組織で仕事を続けるんじゃなくて、世界を変えるほどの発明をしたいって思うなら、自分だけのプロジェクトをやるしか方法はない。

僕は特に発明をしたこともないので本当にはわからないけれど、真に独創的なことができるエンジニアならきっとこれは真実だろうと思う。日本ではどう捉えられるのだろう?