前から気になっていた箱根のブックホテル、箱根本箱に行ってきた。
本が好きな人であれば、一度は書店や図書館に住みたいと思ったことがあると思う。自分はヴィレッジヴァンガードやガケ書房、恵文社といった個性的な書店に魅了されてきた経緯があり、「まだ読んでいない本に囲まれた生活」にずっと憧れがあった。
そんな少年の夢を金で解決するべく、箱根本箱へ向かう。
一ヶ月前からロマンスカーの先頭車を予約していたので乗り込む。箱根湯本駅からも箱根登山鉄道、ケーブルカーと乗り継ぐ必要があるので、なんだかんだで都内から3時間弱はかかった。
箱根本箱の見所は「本」と「食」の二つに集約されると思う。
本
ホテルに入るとロビーにある大きな本棚が目に入る。なんとなく食や旅、日本文学、海外文学、などに分かれているが、ゆるく繋がりがありそうな範囲で雑然と詰め込まれている。いわゆる「編集された棚」。写真集やマンガもある。
客室にも本が置いてあり、こちらも面白そうなラインナップ。ロビーやショップにある本全て部屋に持ち帰って読んでOK、そして全部購入可能である。7割の人が本を購入して帰るという。自分へのお土産として丁度良いのだろう。
ロビーに戻って早速本を読み始める。ロビーの二階はなかなか眺望が良い。エスプレッソマシンと、冷たいハーブティーのポットも置かれていて飲み放題。高級マンガ喫茶じゃんと思いながらだらだらする。飲食コーナーに置かれていた中島らもの「今夜すべてのバーで」を再読(これは飲食本なのか?)。
本棚の中に入ることができる。本棚には中にスペースが空いている部分があり、ここにクッションが置いてある。本棚の中の秘密基地である。なかなか居心地がいいし、通りかかる宿泊客が驚くのも楽しい。
夜中になるとロビーに誰も居なくなるので、自分が図書館の主のような気がしてくる(これは厨二病)。
食
夕食はこのホテルの目玉で、オープンキッチンを囲むカウンターで食べる。地産地消にこだわっているということで、神奈川や静岡の野菜や魚介が中心のイタリアンである。料理はとても美味しい。
我々は二泊したのだが、二泊目はちゃんと違うメニューになっていた。しかし食事は前日の方が気合いが入っていたと感じたし、ワインも前日と同じだったので、少し飽きてしまった。
部屋と温泉
その他の要素、「部屋」と「温泉」であるが、まず部屋は割と簡素である。
ただし全個室に露天風呂が付いているのだけは豪華。この露天風呂は常にお湯が入っているので、ちょっと風呂に入ろうと思ったらすぐに入れるのが良かった。本を読んで風呂に入ってと言うのを何度か繰り返したがこれは極楽。
風呂については大浴場が別にあり、こちらも良かった。生け垣で囲われているので見晴らしはないが、2つの源泉の内風呂と、木立の中にある露天で、どちらも気持ちが良い。露天にKindleを持ち込んでだらだらと1時間くらい過ごしてしまった。
おわりに
滞在する2泊3日の間、昔読んだ本を読み返す時間が半分、新しく読む本の時間が半分という感じで過ごした。引越しを繰り返す中で手放してしまった本や、段ボールの中に眠っている本と久しぶりに会うと、なんだか無性にもう一度読み返したくて、時間がもったいないような気がしながらもつい読んでしまった。
さすがに三日間読み続けると目が疲れて、最終日は漫画と温泉でだらだらして終わり。
だいぶ気に入ったので、帰りの足で来年の予約を入れた。