ninjinkun's diary

ninjinkunの日記

iOSDC2017で「ディープリンクの設計と実装」について発表した

9/15-17に開催されたiOSDC2017に参加し、9/16の1日目に「ディープリンクの設計と実装」というタイトルで発表を行った。一休レストランアプリディープリンク対応を例にして、ユーザー体験から実装まで含めた話題を取り上げた。

Universal Linksの実装方法自体は既によく知られているので、自分の発表では実際にサービスに適用する際に困るポイントなど、できるだけ生々しい現場の話をするという方針で内容を組み立てた。スライドを見ていただければわかるが、自社アプリの宣伝も兼ねている。

また今回の発表後に、参加者からの投票で選ばれるベストスピーカー賞の2位を受賞した。発表で賞をいただくのは初めてのことで、とても嬉しい。「あるある」を詰め込んだのが良かったのかもしれない。

イベント中に各社のiOSエンジニアとディープリンク対応について話をしたが、皆共通して今のディープリンク体験はまだ微妙、うまく設計するのが難しいしパーツも足りていないという認識を持っているようだった。これは自分も同意で、現在のディープリンクは1ユーザーとして不自然に感じる点が多い。Webの文脈とアプリの文脈を繋げること自体、かなり無茶なことなのではとも思う。

事業者として見るとWebからアプリに誘導できるメリットは多いが、この流れを今後ユーザーが支持するのかどうかは注意深く見守っていきたい。

他のセッションも面白く、色々な人と話して大変楽しかった。参加者の皆様、iOSDC運営の皆様、ありがとうございました。

就職

6月中旬に株式会社一休に入社した。一休レストランという飲食店予約サービスを運営するレストラン事業部で、iOSアプリの開発を行っている(やっていることはコーディングとプロダクトマネジメント的な仕事を半々ずつくらい)。

一休はIT系としては比較的歴史が長い会社だが、

  • アプリの伸びしろの大きさ
  • 経営陣の面白さ
  • 自分で使って楽しいサービス

という点で、総合的に見て面白い経験ができそうと感じて入社を決めた。事前に二週間お試しで働いてみて、一緒に働くメンバーとも楽しく仕事ができそうなのがわかっていた点も大きかった。

元々飲みに行ったり外食することは好きだったのだが、一休では自社のサービスを自分で使ってご飯を食べに行き、その体験をまた製品にフィードバックして改善できる。自分の生活をサービスに反映できるところが面白い。

他にも、社長(金融工学、CS、コンサル系のバックグラウンド)が検索のおすすめ順やリコメンデーションのロジックを書いていたり、ユニークな点が色々ある。

一休の開発は東京のみなので、平日は東京、週末は京都という単身赴任的な生活をしている。東京では築地で友人とシェアハウスを始めた。

というわけで、東京と京都の皆さん、一休レストランを使って飲みに行くぞ。

無職の振り返り

今年に入ってから半年ほど無職をしていたのだが、最初は意識高くCourseraなどやっていたものの、Nintendo Switchゼルダを始めてしまい、結局ゲーム(ゼルダペルソナ5)ばかりして過ごしていた。

前回の退職時の一番の目的であった、妻の忙しい時期をサポートするというのは何とかこなしたものの、自分は仕事がなければ特に生産的なことはしないということがわかった半年だった。次に無職をやる機会があれば、コワーキングスペースを契約するなどしたい。

ちなみに、平均的な一日はこのような感じだった。

  • 朝7時に起きて朝食を作る
  • 妻を送り出して8時からハイラルを駆け回る
  • 昼食を作って食べる
  • ハイラルを駆け回る
  • 16時くらいに意識が高まればプールに行って泳ぐ
  • 夕食の買い物
  • お酒を飲みながら夕食作り
  • 帰宅した妻ともう一回飲み直す
  • 23時就寝

builderscon 2017に行ってきた

8/4-6に開催されたbuilderscon 2017に行ってきたので、印象に残ったセッションのメモを書いておく。

DeepLearningによるアイドル顔識別を支える技術

  • LINEのエンジニアすぎゃーんさんの発表
    • 元々は仕事と関係なく始めたけど、最近はAIプラットフォームClovaの部署に居るとのこと
  • やはりデータセットがキモ
    • まずこれだけのデータセットを作っているのがすごすぎる
    • 1年半分類し続けているとのこと。これだけ続けられるのがすごい
    • 最初からこれくらいやろうとは思っていなかった
    • 最初は5人のアイドルグループを識別するところから始めた
  • DCGANを使って非実在アイドルを生成するなど、データセットがあると分類以外にできることが広がる
  • 正面顔にこだわったりしているのが精度の高さの秘訣なのではないかと思った
    • OpenCVで顔の角度を出してデータを選定しているとのこと

複雑なJavaScriptアプリケーションに立ち向かうためのアーキテクチャ

  • このテーマについてここ数年情報発信をしているしんぺいさんの発表
  • 本当に重要なのはMVVMかどうかではなく、Presentationとビジネスロジックが分かれていること というのがよかった
  • 休憩時間にしんぺいさんとMVVMは一番難しいパターンなのではないかという話をした

真のコンポーネント粒度を求めて

  • CodeGridの中の人
  • CSSのクラスの命名どうするの?という話からコンポーネント
  • Object Oriented CSS、BEM、Atomic Designなど、最近の流れが一通り追えて勉強になった
  • 個人的にはEnduring CSSが衝撃的で、自分の考え方にしっくりきた
    • コンポーネントを共通化しない、不要になったらすぐに捨てられるようにする
    • 継承でパーツ作るの嫌いなので、個人的にはこれはしっくりくる。冗長でもええやん
  • フロントエンドエンジニア、デザイナーであればこの辺りの話は一通りフォローしておく必要がありそう

感想

昨年に続き今年も参加したが、大変楽しかった。インフラからフロントエンド、ネイティブアプリまでこれだけ広い領域のエンジニアが集まるイベントは他にないのではないか。ネイティブアプリエンジニアの自分がフロントエンドエンジニアとアプリの設計を比較して話をしたりできるのが、自分が感じるこのイベントの醍醐味である。

また来年もぜひ参加したい。

山種美術館

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東京に住んで良かったことの一つに、山種美術館との出会いがある。恵比寿にある日本画専門の美術館で、自分は新しい展示が始まる度に通っている。

この美術館で好きなところは、作品との距離がとても近いことだ。たいていの作品は額まで寄って眺められる。細かい書き込みと大胆に省略されている部分を比較したり、絵筆の動きを想像すると楽しい。また、金箔が張られている作品などは光の当たり方で見え方が全然変わるので、体を動かしながら眺めると面白い。

今やっている日本画の教科書 東京編は山種コレクションの総力戦という感じで素晴らしかったのでお勧めしたい。

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基本的に写真は撮れないが、こんな感じでときどき許可されているものがある。

結婚退職無職

昨年11月に結婚し、2月に勤めていたFablicを退職して京都で暮らしている。

結婚

3年前に上京して、京都に住んでいる彼女と遠距離恋愛をしていたのだが、昨年末に結婚した。現在は京都で一緒に暮らしている。毎晩一緒にお酒を飲めるのが楽しい。

退職

会社を辞めた理由としては、会社が昨年夏に買収され、自分の中でスタートアップ欲求が一段落付いたというのが一つ。もう一つは妻の仕事が3月まで忙しいことがわかっていたので、せっかく結婚したのだし、しばらく一緒に居る時間を作ってサポートするのも良いんじゃないかと思い、このタイミングになった。

Fablicにはスタートアップの黎明期から拡大期に移るタイミングで入社し、フリルのiOSネイティブ移行、AndroidのMaterial Design対応、RIDEの開発など、様々な楽しいプロジェクトに関わらせて頂いた*1。また、自分のわがままを聞いてもらって、プロダクトマネージャー見習いをやるチャンスもいただいた。素晴らしい同僚と製品に深く感謝する。

無職

今のところは就職していない。妻の仕事がとても忙しい時期なので、自分が家で一通りの家事をやっている。と言っても二人暮らしなのでやることは知れていて、基本的に自分の時間は多い。知人には「僕が言う主夫は、主にAmazonビデオを見る夫の略です」と自己紹介している。

今後

今後については今のところ白紙で、時間はあるのでじっくり考えようと思っている。

東京はやはり仕事環境として魅力的なので、関西の会社を探しつつ、東京と京都を往復する生活をまた再開することも視野に入れているという感じである(東京勤務の場合、平日は普通に出勤、週末は京都に帰り、慣れてくれば週一くらいでリモート勤務できると嬉しい)。3月からは、いくつかの会社でお試し勤務をしてみる予定も入っている。

東京時代にお世話になった方々、ありがとうございました。また東京にも月一くらいで行くので、飲みに行くぞ。Skype飲みなら気軽に出てくるぞ。

関西の皆様、飲みに行くぞ。

Product Managers Japanは自分が幹事なのもあって、ときどき東京に行って続ける予定である。DroidKaigiのスタッフは幽霊部員になってしまってすみません…。

写真は退職記念に買った複製画*2。家で撮ると台無しな感じもありますが…

Amazonウィッシュリストこちらです。

*1:仕事でやったことはLinkedInに書いていこうと思っているので、細かいことはそちらで

*2:オリジナルは現在恵比寿の山種美術館で展示中なはずなので、そちらを見に行きましょう

アンダーグラウンドを読んだ

1996年の地下鉄サリン事件の被害者へのインタビューをまとめた本。今まで何度か読んでいるのだが、Kindle版が出ていたので読み返してみた。

この本の特徴は、地下鉄を使っていた被害者たちの日常に焦点を当てているところだと思う。インタビューに答えているのは主に会社に勤めている人、防衛省の人、営団地下鉄に務めている人たちなどだ。どういう経緯で東京の職場に務めることになったのか、毎日どの様に通勤しているのかといったそれぞれのストーリーが語られた後で、それがサリン事件によってどのように奪い去られたかが明らかになる。人々の日常を破壊する暴力を、六十数人のインタビュイー個人の視点から追想する。それは必然的に、一言で表現できない重層的な物語になる。

自分は当時名古屋に住む小学生だったので、この事件のことは曖昧にしか覚えていない。しかしこの本を読んでから東京で日比谷線に乗る度に、この事件のことを考えるようになった。被害者が救急搬送された神谷町や霞ヶ関、築地など、事件があった場所を所用で通ることは何度もある。もちろんそれらの駅には事件の痕跡を示すものは見当たらないが、この本の内容を覚えている自分には、車内でサリンが散布されてから駅が閉鎖されるまでの光景を想像することができる。怖いとかトラウマとは違う。それは(事件後に警備が相当強化されていることは重々承知しつつ)今ここで起こってもおかしくないことなのだと、ただ思うのだ。

自分の生活と地続きの暴力について考える機会になる、優れた本だと思う。後書きの部分に、一連のインタビューを通過した後の村上春樹の物語に対する姿勢というか、態度の表明が濃いめに書かれているのも興味深い。

ハイアールの冷蔵庫を買った

冷蔵庫を大容量のものに買い換えたいと思って色々見て回ったのだが、結局ハイアールの製品に決めた。

電気店では日本メーカーの冷蔵庫が強く推されているのもあり、自分も当初は日本のメーカーの製品を買おうと思っていた。カレーなどをたくさん作って保存しておく習慣があるので、シャープ製のものが冷凍庫が大きくて良いかなと思って、一度は購入までした。しかし家に搬入する際に入り口の部分で引っかかって、設置することができず返品になったのである。

その後、改めて入り口に入る寸法の冷蔵庫を探すうちに、冷凍庫が大きくて寸法がちょうどのハイアール製の冷蔵庫が候補に浮かんできた。自動製氷などの便利な仕組みは全くないが、値段は他の国産メーカーの半額である。省エネ性能に至っては国産メーカーより優れているらしい(スペックを信じるならば)。

購入して一ヶ月ほど経つが、元々高度な機能が皆無な冷蔵庫を使っていたせいか、不満は特にない。冷凍庫が大きいのは大変便利で、作り置きが加速している。高度な機能が不要な人は、こういうのでいいのかもしれない。

余談だが、急速冷凍機能は金属製のバットでシミュレートできた。

コンテナ物語を読んだ

少し前に知人たちの間で話題だったので読んでみた。物流で使われるコンテナをキーに経済のグローバル化を紐解く本という感じである。世界の港から湾口労働者が閉め出されていく様や、日本やアジアの国がコンテナによってサプライチェーンを構築したり、その一部になっていく様子が描かれている。

歴史やイノベーションの本として読むのが本筋なのだろうが、自分は主に現代の物流を解説する本として読んだ。自分が普段触れる物流というのは宅配便や小売店のトラックくらいだけれど、その向こう側に船、鉄道、航空機による輸送がある。そしてそれらの要素が自分の生活にどう結びついているかが、少しイメージできるようになった気がする。この本を読んでから、港に行くたびにコンテナドックを探してしまうし、貨物電車を見る度にコンテナの種類を数えたりしてしまうようになった。

知らない領域の仕組みや、その内側での変化を解説した話は大変面白いので、こういう本をもっと読みたい。

コンテナ物語

コンテナ物語

現在の自分とプロダクトマネジメント

最近人に会うと、プロダクトマネジメントに詳しいと思われることが多い。確かにいくつか 関連するエントリも書いているし、Product Managers Japanのまとめ役*1 もやっているのでそう思われるのかもしれない。

しかし自分はプロダクトマネジメントについて座学で勉強はしたが、実際のプロダクトマネージャーとしての経験は合計9ヶ月くらいしか無いのだ。しかも誇れるほど数字を上げたという経験はほぼ無い。

プロダクトマネージャーは実際に関わった製品が成功することでしか評価されない職業だと思うので、残念ながら現状ではプロダクトマネージャーとしてのキャリアはだいぶ薄いと言わざるを得ない。もちろん今後はもっと経験を積んで実績を出していきたい思っているが、今の自分はプロダクトマネジメントの知識を持ったエンジニアと自己紹介する方が妥当だろう。

人と会った際に期待値がずれることを減らしておきたくて、なんとなく書いておいた。

*1:こちらはantipopさんに指名されたという経緯でやっている(もちろん楽しんでいるが)