Webマーケターの知人に「マーケティング初心者に一番おすすめの本教えてよ」と尋ねてみて、この本を推薦してもらったので読んでみた。戦争で使われる戦略をマーケティングに当てはめて、実際のマーケティング戦略を解説していくという内容の本である。戦争の引用がどれだけ妥当なのかはわからないが、とりあえず歴史好きや小説好きであれば面白く読めると思う。自分は一気に読んでしまった。
印象に残ったことをかいつまんで箇条書きにすると
- 基本的に戦いは人数が多い方が勝つ
- なのでビジネスにおいては営業の人数や広告予算が多い方が勝つ事が多い
- 防衛するのは攻撃するより容易だ
- なのでトップの企業を蹴落とすのは容易ではない
- 製品のイノベーション、品質の高さ、人材の優秀さだけで逆転できることはほとんどない
- 規模が小さければニッチに特化したゲリラ戦を仕掛けろ
という感じだった。そしてビール戦争、コーラ戦争、コンピューター戦争と実際のケースに当てはめる章が続く。
競合との関係で自社をどこに位置づけるかを考え、そこから戦略を演繹しろというのはこの本に限らず色々なところで言われていることだとは思う。自分の会社も激しい競争の中に居るので、読みながら改めて考えさせられた。
一方で、明日から自分の仕事に使えるかというと、特にそういう感じはしない。話のレイヤーが経営レベルの製品戦略なので、毎日の施策をどうするかという戦術の話は省かれているからである。マーケティング関係の人の頭の中を覗くという意味では参考になった。
また、この本ではクライスラーを立て直したリー・アイアコッカをマーケティングの天才と言って持ち上げているが、確か昔読んだビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 ではこの人はこき下ろされていたはずで、見る人や時代によって人物や戦略への評価も全然変わっていくものだなと改めて感じた。この手の本は小説のように読むくらいがいいのかもしれない。
少し昔の人なので現役時代を知らなかったのだけど、アイアコッカのWikipediaを見ると経歴も評価も凄まじい感じで面白い。
マーケティング戦争 全米No.1マーケターが教える、勝つための4つの戦術
- 作者: アル・ライズ,ジャック・トラウト,酒井泰介
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2007/04/20
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