ninjinkun's diary

ninjinkunの日記

Kindleは長編小説に最適かも。カラマーゾフの兄弟を読みました

Kindle Paperwhiteを手に入れたので、光文社古典新訳文庫のカラマーゾフの兄弟を読みました。紙の本も持っているのですが、Kindleが長編小説に向くのか試してみたかったので、もう一度購入してみました。一ヶ月近く使ってみて、長編小説を読むのにはかなり良いデバイスであることがわかってきました。以下順に説明していきます。

  • デバイスの魅力
  • デバイスフリー
  • ハイライトがまとめて見られる
  • 続きがいつでも購入可能

デバイスの魅力

E-Inkは液晶ディスプレイより目が疲れにくく、長時間読み続けるのに向いています。日中の太陽光の下でも見やすいので、散歩に持って行くのも楽しい。寝る前に薄暗い枕元で読む際にも、バックライトがつくので読書灯いらずで快適です。
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重さはタブレットより軽いものの、顔の上に持ってきて支え続けるのは長時間になると辛い感じです。うつぶせで枕元で読むか、お腹の上で支えてソファに横になることが多いです。
使っていて気づいたのですが、開いている本を固定しておく手間がないため、何かを食べながら読むのにも向いています。

デバイスフリー

Paperwhiteの魅力を語ったあとで言うのも何ですが、デバイスに縛られないというのも大きな魅力です。スマートフォンでもPaperwhiteでも読める上、読んだところがデバイス間で同期されるのがかなり便利です。
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Paperwhiteを持ち歩いているのですが、信号や電車の待ち時間などにさっと取り出すには、ポケットに入っているiPhoneの方が早いので、ついついそっちで読んでいました。隙間の時間が読書に使える利点はかなり大きく、自分的にはKindleでの読書ではPapewhiteとiPhoneを7:3くらいの割合で使用している気がします。
カラマーゾフの長さは一晩では読めないので、基本的にはじりじり読み進むことになります。継続して本に向かうことができると、話の筋も忘れにくかった気がします(話がややこしいので、間が空くとすぐ忘れます)。
惜しむらくは、自分はWifi版を購入したため、外出先だとPaperwhiteで読んだ部分が同期されないことです。これが想像以上にストレスで、このためにだけでも3G版の購入を検討しています。

ハイライトがまとめて見られる

文章に線を引くように、ハイライトしてメモする機能があります。これを後からPCでまとめて見られる機能がかなり良いです。*1
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最終巻まで行くと一巻のことは忘れていたりしますが、ハイライトを少し見返すだけで自分が印象を受けたシーンが立ち上がってきます。読み終わった後でも、見返すと本の中に戻って行くような感覚になり、かなり楽しいです。巻をまたがって一覧できるというのがまた長編向きだと思っています。

続きがいつでも購入可能

自分はまとめ買いや積ん読をしないので、本はいつも一冊ずつ購入して読んでいきます。まとめて購入すると自分へのプレッシャーになる気がして、マイペースで一冊ずつ購入して進んで行く感じが好きなのです。
このため、今まで続きを買うには本屋さんに走らなくてはならなかったのですが、これがKindle Storeによって解消されました。何時でも読了した側から続きが買える安心感はありがたいです。カラマーゾフは5冊構成なので、特に恩恵を感じたかもしれません。

カラマーゾフを読んで

本の感想を書くのは苦手なのですが、何も書かないのもあれなので一応書いてみます。カラマーゾフはとにかく分量が圧倒的なので、一度読んでも見落としている点も多く、読み返す度になにか発見があります。

病的な人たち

ドストエフスキーの著作には変な人ばかりが出てきます。作者が病的だ病的だと書いているけれど、作中の人物は病的なのがデフォルトなので、てっきりそういう作風だと思い込んでいました。
今回もそう決めてかかって読み始めたのですが、検事イッポリートが出てきて予審を始めると、彼があまりにもまともにしゃべるので、びっくりしてしまいました(こんな人がいることは忘れていた)。やっぱり他の連中が病的なだけだったのか…、と思って少しほっとしました。

病的な娘

自分は病的な娘リーザが好きで、彼女の心の機微が大きく振れ動くところでは、いつも不思議な感覚を味わっています。ハイライトを漁っていたら、リーザが病的な告白をするシーンを見つけたので引用しておきます。

「それもすてき」リーザは妙に歯ぎしりしながら言った。「あの人が部屋に入ってきて笑いだしたとき、わたし、人に軽蔑されるのもすてきだなって、ふと感じたの。指を切り落とされた男の子もすてきだけど、軽蔑されるのもすてきって……」そう言うと、彼女はアリョーシャに面とむかって、妙に意地悪そうに熱っぽく笑いだした。 「あのね、アリョーシャ、じつをいうと、わたし、……アリョーシャ、わたしを助けて!」彼女は、寝椅子から急に飛びおきて彼に飛びかかり、しっかり両手で彼を抱きしめた。

何とも言えず、素敵です。

光文社古典新訳文庫はまだ10冊くらいしかないので、買い支えて行こうと思います。もっとKindleで読める長編小説が増えて欲しい昨今です。

Kindle Paperwhite Wi-Fi (2012年モデル)

Kindle Paperwhite Wi-Fi (2012年モデル)

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